
リナリア
Age:19 SEX:FEMALE
(名前の由来:姫金魚草の呼称)
「始まったよ。まーたヒヨっこのスカウトだ。」
冒険者ギルドに笑い声があがる。
ギルド『ヘスペリデスの園』を立ち上げて半年、未だに第一階層で燻っているアタシの不甲斐なさからか、いつものように勧誘は失敗に終わってしまった。
それでもなお、アタシは力を付けて世界樹に挑まなければならない……
『アタシのお父さんも冒険者だった。ただアタシとおんなじでパッとしない冒険者だったみたいだけどね。
そんなお父さんがギルドの仲間とはぐれて、単身樹海に取り残されたことがあった。
そうして音沙汰のないまま三日後、ひょっこり街に戻ってきたの。足?勿論付いてたわよ。
お父さんは遭難中の体験を話してくれたわ。
樹海を彷徨って力尽きたとき、白く透き通った肌をした緑髪の少女に介抱してもらったこと。
樹海の奥地に集落があるらしいが、樹海の外の人が立ち入るのは危険だからダメだと諭されたこと。
けれど街のみんなは「樹海に人が暮らしている訳がない」とお父さんをホラ吹き呼ばわり。
その話の信憑性が増したのは、お父さんが樹海で魔物に命を奪われてしばらく経って、超一流ギルドが「樹海の奥地で人ならざるものを見た」と報告した頃からだ。』
アタシはお父さんが言ってた話を信じるし、実在することを証明すると言って樹海から帰ってこなくなったお父さんの意思を継いで助けてくれた少女にお礼を言いたいし、樹海の外の人を拒む理由も知りたい。
その目的を達成するには、樹海で待ち受ける様々な障害を乗り越えられる実力と、背中を預けられる仲間が必要だ。
だから今日もアタシはいつもの決まり文句で冒険者に誘いかける。
「アナタ、世界樹に興味はないかしら?」
リナリアの冒険日誌
×/×× ギルド「ヘスペリデスの園」に新たな仲間が二人入った。
ギルド長からは五人いたほうが良いと言われたが大丈夫よ。アタシ達なら迷宮の奥にだって行ける!
…と思っていたのだけれども、やっぱり二人を守るために私が前にいたらすぐノビちゃった。
アハハ…頼りないとこ見せちゃったけどアタシ頑張るからね!
×/×× アタシのせいで樹海探索を切り上げたくない!
性には合わないけどド派手な剣技じゃなく、基礎体力を付けることにした。
成果はすぐ表れて、1層のFOE相手ならしっかり戦えるようになってきた。
アスターの傷の処置はバッチリだし、硬い魔物にはペルビアナの術式でイチコロ!
アタシ達ってなかなかいいパーティーじゃない?
樹海の奥から来た「スノードリフト」って魔物、慢心はしないけど相手にとって不足なしね。
×/×× 焦らずに力を付けてスノードリフトに挑み、激闘の末遂にみんなで勝利できた!
やった!これで第二階層の探索…熟練の冒険者の仲間入りよ!
自分でも信じられない…私一人じゃ世界樹に迫ることなんてできやしなかった。
アスター、ペルビアナ…本当にありがとう。
×/×× 甘く見ていた…
第二階層の魔物は第一階層の魔物よりも遥かに強く、斬っても手ごたえのないウーズや硬い攻殻のサソリなどアタシじゃどうすることもできない魔物が増えてきた。
×/×× ギルドのリーダーとしてこれ以上恥ずかしいところ見せていられない!
ひたすら基礎を特訓中!
持久力、体力を更に鍛えて打たれ強さを。集中力を鍛えて持久戦を。そして剣のの習熟度を高めることにした。
ひたすら訓練・実践あるのみ!!
×/×× ペルビアナの術式に併せて追撃する技を思いついた。
術式に剣を突っ込みながら相手を斬るイメージでいたんだけど、改めてペルビアナの術式をまじまじと見るけど凄い威力…
これに併せるのは少し怖いけど…決まったらカッコいいよね?
×/×× 第三階層は不思議な場所だ。
周りは珊瑚のような岩でできており、所々水浸しになっている。そんな迷宮の中に色んな種類の働き蟻とその女王蟻が巣食っていた。
そんな迷宮の探索中、ずっと誰かに見張られているような視線を感じる…
レン先輩やツスクル先輩、それにエトリアの兵士さんとも違う敵意を持った視線だ。一体誰なの…?
×/×× 階を降りるごとにドンドンと歩ける足場が少なくなってきている。
今日は蓮の花に乗って湖のような大きさの水場を渡りきった。気分はまるで仏様のようだ。…少し楽しい……
けど、油断は禁物。ここで出会う魔物は水路などを活かして俊敏に動き回って確実に先手を取られてしまう。私は基礎体力を付けたから平気だけどペルビアナが心配だ。
×/×× 敵意を持った視線の正体が掴めた。
緑髪の少女…もしかしたらお父さんを助けてくれた人かもしれない。
「古き盟約により、貴様らは聖地に入ることは禁じられているはず!」
彼女はそう言って巨大な魔物をけしかけてきたけど、盟約って?どうして襲われたの?…もうわかんないよ…
アタシ彼女たちに「お父さんを助けてくれてありがとう」ってお礼言いたいだけだったのに…
嫌な予感がする。ねぇ二人共…この先に進むつもりなの?
おまけにサソリに毒を流し込まれて激痛で気を失っていた間に、二人が魔物を倒して助けられちゃった…
……アタシ…みんなの役に立っているのかな…